2011年4月26日火曜日

参考値

いいとこ見つけた。ここめっちゃ分かりやすいや。

goo全国放射線量マップ

自分の住んでる地域に立つピンを、マウスでポイントするとマイクロ シーベルト/毎時(μSv/h)の値が出る。 これで以前計算した目安と、簡単に比較する事が出来る。

目安:
0.05μSv/h 超普通(国内通常値)
0.274μSv/h 普通(世界通常値)

ざっと見た所(12:00現在)、宇都宮0.064、さいたま0.057、東京0.07など、どこも大体 0.05μSv/h近辺。福島市は1.8とやや高めだが、その他は世界通常0.274どころか、0.1まで届くような所も稀(水戸0.118)。

で、新情報。
「この位なら、そろそろ真剣に気にしろ」という指標値が出た。


3.8μSv/h 屋外活動制限指標値

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【 2011年4月20日】
1時間当たり3.8マイクロシーベルトで校・園庭での活動制限

校庭や園庭の放射線量が1時間当たり3.8マイクロシーベルト(1マイクロは千分の1ミリ)を超えた福島県内の保育園、幼稚園、小中学校については、校庭・園庭での活動を1日あたり1時間程度にするなど、屋外活動をなるべく制限することが適当、との暫定指標を決めた。
文部科学省と厚生労働省はこれを受けて同日、福島県教育委員会などに通知した。

原子力災害特別本部は既に避難区域外に計画的避難区域を設ける対策を打ち出しているが、計画的避難区域を決める基準として1年間の放射線量が20ミリシーベルトに達すると推定された地域という考え方を採用している。
1時間当たり3.8マイクロシーベルトという放射線量は、1日16時間屋内 (木造)で、8時間屋外ですごすことを想定すると、年間の被ばく線量が20ミリシーベルトを超えない量としている。

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素で計算(3.8×24×365÷1000)すると、33ミリシーベルト/年を超える為、 活動制限結果やその他の関数がかかっていると思われ。
じゃあ「年間20ミリシーベルト」から単純逆算すると?
20×1000÷365÷24=2.28μSv/h。

ほんのちょっとだけ用心して2.25μSv/hで積算値を出すと、
2.25×24×365÷1000=19.71ミリシーベルト。
年間20ミリシーベルトの基準内。

先程「やや高い」と言った福島の値1.8μSv/hは、1年続いても15.77ミリシーベルト。「退避」と言われる年間20ミリシーベルトまでは、胸部レントゲン撮影(50μSv/1回)約100回分の余裕を残す勘定。

結論:
風向きを気にするのは2.0μSv/hが出てから。
外出を控えるのは3.0μSv/hを超えてから。

ってなるけど、どうなのかなぁ。

2011年4月23日土曜日

ようこそ

ヨメから教えてもらった。
何度も観て、何度も胸熱。
私も手を振る。ようこそ九州へ。



がんばれ新幹線。日本をつなげ。

2011年4月17日日曜日

この先の斜め上

韓国サムスン電子、14億ドルで米シーゲートにHDD部門売却へ
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1575555&media_id=52

なんでHDDイラネなのかと考えるに、おそらくは「ローカルデータ」というものが過去のものになる日が来つつある、ということなのだろうと解釈。全てがクラウドになる日が来るのだと。
やっとコイル(時代)が暖まって(追い付いて)来たぜぇ、と、健康憂慮不漁中年は独り言つ。現在の私のモバイル環境は、そうした世界を志向して組み立てたものであるからだ。

という訳で、現況。3台持ちだと言ったら驚かれるかしら。組み合わせは以下の通り。左から順に…


1号:docomo SH-01B
2号:b-mobile IDEOS
3号:AiShuo MINIPAD

1号はネット関連の契約を全て切った通話専用機。i-modeのアドレスすら無い。SIMは今までと同じものを使うので、電話番号には変化無し。

2号は日本通信のAndroid端末「IDEOS」。香港製だが、日本の技適を取ってる偉い子。これにb-mobileの通信専用SIMを差してネット用に。

3号はいわゆる「中華パッド」、つまり中国製Androidタブレット。
8インチ感圧式TFT液晶、解像度800×600、Android2.2(Floyo)、CPUはCortex-A8 1.2GHz、RAM512MB、重量490g。GalaxyTabよりパワフルなのに、値段は半額。

それぞれの端末は、例えて言うなら1号がカッターナイフ、2号は小型十徳ナイフ、3号が大型マルチツールナイフ位の感じ。
docomo T-01Aで覚えたスマホ生活の、必要を増やして不要を削ったらこうなったのだが、どうしてこうなった。

この構成は、「電話はほとんど不要だが、常にネットにアプローチできないと死ぬ」というネットモンキー(私)に最適化した環境。すなわち猿の楽園。楽園の所以は
A:常に繋がる
B:状況に応じて可変
の2点。

Aのキモは2号。このIDEOS最大の特長はテザリング可能なこと。つまりポータブルWiFiルータとして使えるのだ。
3号のネット接続はWiFiのみ。それでは電車移動中等は使えない。しかしWiFiがダメなら3Gがある。「パンが無ければご飯を食べればいいのに」というマリー・アントワ.NET。
2号で3G波を掴まえて、3号を2号に繋げばネットに届く。b-mobileはdocomoのFOMA網を使うので、人口カバー率100%、地上に居る限り電波はある。フランス万歳!

そしてスマホ生活最大の敵、「バッテリー切れ=全滅」もこれで回避出来る。3号が死んでも、2号が倒れても、1号(電話)だけは独立残存する。

そしてBの「状況に合わせて可変」、その1はアドレスフリー。
3台持ちはいかにも大袈裟かもだが、「携帯電話」としてではなく、「自宅PC環境を小型化した」と見ればどうだ。場所や時間に縛られず、今ここにほぼ全てある、その自由。

状況に合わせて可変その2、ハードウェア。
どんなハードも陳腐化する。2号3号の現在のアドバンテージも不変ではない。
しかし良いものが出れば乗り換えるだけだ。2号3号は安価が売りだし、キャリアが無関係なので2年の縛りも無い。b-mobileはSIMに通信費("年間"29800円)だけチャージすれば、後は何も言わない。キャリアとの契約があるのは1号だけで、これは乗り換えの必要が薄い「ただの電話」だ。
さらに、外出時に「今日は1号だけ」や「2号と3号だけ」みたいなセレクトも出来る。

状況に合わせて可変その3、クラウド化。
WindowsMobile を使っていた頃から、極力ローカルデータを持たないようにしてきた。スマホ生活では携帯とPCにデータが分散しがちで、結局同期の手間が掛かる。それならオリジナルをクラウドに置いて、自分の居る場所に応じた手段でアクセスする方がスマートだ。
ローカルデータを持たない身軽さ、自由度の高さは、一度体験すると堪えられない。

機能的なメリットは以上の如し。そしてこれらは同時に金銭メリット、安さも生む。

ハードウェアコストは以下の通り。()内は月々の通信コスト。
1号:貰い物でタダ。(通話料のみ930円)
2号:23000円@オークション。ただし定価でも26800円から。
   (データ通信料年間29800円÷12=2483円の使い放題)
3号:22980円。(WiFiオンリーなのでタダ)

減った毎月のランニングコストは以下の通り。
パケット通信料5700円
プロバイダ料金等その他費用1000円
端末分割購入費1400円

月々6000円圧縮できたので、新規端末購入費、46000円は8ヶ月で回収できる。キャリアの縛りからも解かれ、パワフルで使い放題のモバイルライフ。猿は温泉で極楽気分。

ただし、何せ中心に据えたのが中華タブレット。サポート無し、情報無し、日本語取説も無し。上げ膳据え膳美人女将など、望むべくも無い秘境の湯ではある。
基本は自助自立。朝食?山菜取ってこい。夕食?ヤマメ釣ってこいのワイルド自炊。でも平気。猿だから。

それに言うほど酷いもんでもない。キャリア純正が三つ星ホテルなら、素泊まりOKの安宿程度。必要なものはちゃんと揃ってるし、変な緊張感とも無縁で気安い。
68K Mac使ってた人なら、むしろ馴染むんじゃ?って感じ。

ともあれ、安くて速くて、自由で快適。みんなキャリアにバイバイして、全てがクラウドな世界へ来るがいいさ。
「時代の先を行ってるでしょ?」と知り合いに言ったら、「ナナメ上じゃね?」と言われた。それてる!逸れてるよ!否めないケド!

2011年4月15日金曜日

カレーで考える。

シーベルトとかマイクロシーベルトとかなんなんじゃー!という訳で、調べて考えてみたのさ!手がかりはカレー!

まず放射性物質と放射線と放射能の違い。これをカレーに例えると、カレーが放射性物質、放射線がカレーの匂い、放射能はカレーが匂いを出す力。
遺伝子を破壊したりするのは放射線なので、問題はカレーの匂いだ、ということになる。てか、した。

放射線による人体への影響度合いを表す単位を「シーベルト(Sv)」、放射性物質が放射線を出す能力を表す単位を 「ベクレル(Bq)」と言う。 放射性物質にはさまざまな種類があり、放射性物質によって放出される放射線の種類やエネルギーの大きさが異なるため、これにより人体が受ける影響は異なる。このため、放射線が人体に与える影響は、放射性物質の放射能量(ベクレル)の大小を比較するのではなく、放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を受ける身体の部位なども考慮した数値(シーベルト)で比較する必要がある、とは東北電力HPより。

で、色々調べてみた結果、人体に「急性の」影響が出始めると言われている量、1000mSv/h(ミリシーベルト/毎時)を基準にする事にして、これをカレー1皿が出す匂いと換算、単位「1カレー」とする。
ちなみに毎時200mSv(5分の1カレー)以下の被爆では、急性の症状は認められないとされている。



さて。カレーの匂いが身体に染み通り続けると、どんな影響があるのか。
1時間毎にカレー1皿分の匂い/1カレーを浴び続けると吐き気が、毎時2カレーで髪が抜けたりする症状が出始め、致死率5%(20人に1人)、毎時4カレーで50%(2人に1人)、毎時7カレーで100%とされている。

ちなみに自然界での被爆も私達は普通にしているが、これは世界平均で年間2.4mSv、約400分の1カレー/年。毎時0.000274mSv。年にそのくらいのカレーは、気付かず食べてるだろう。
体に影響は無いとされているのは200mSv/h、毎時5分の1カレー。でも5時間連続で浴び続けると、累積被爆量が1000mSvに達し、吐き気が出たりするかも危険、ということかなと。
政府が退去の基準としているのは、積算被爆量20mSv、1/50カレーに達した場合。1千分の1カレー(1mSv)の匂いを20時間浴び続ける可能性がある、とかそんな時?



さて。
放射線を出すのは、セシウムだのプルトニウムだのという放射性元素。種類によって出す放射線のタイプや影響が違う。つまりカレーの匂いを作る成分、スパイスだ。

スパイスが1秒間に放つ匂いの量(力の強さ)を表す単位が「ベクレル(Bq)」。ざっと探して見つけたものを、力の弱い(ベクレル値の低い)方から並べ、半減期と併記してみる。
なおそれぞれの数値は、「スパイス1g(グラム)が1秒間に放つ匂いの量」、つまり「秒速どんだけ鼻を刺すか」を表す、のではなかろうか、という捉え方。
計算に使ったのはカシオのサイト。ややこしい計算の時は、とても頼りになるナイスガイ。
http://keisan.casio.jp/

ウラン238 124万Bq/44.68億年
カリウム40 2654万Bq/12.48億年
プルトニウム239 2300億Bq/2.4万年
ラジウム226 3兆6500億Bq/1600年
セシウム137 320兆Bq/30年
ヨウ素131 46京Bq/8日

ベクレル値の高いものほど、半減期(匂いが薄れていくスピード)が短い傾向にある?匂いのキツいものほど長続きしない感じ?
で。半減期から、それぞれの元素が1%以下になる時間を計算してみた。

ウラン238 304億年
カリウム40 84億年
プルトニウム239 16.4万年
ラジウム226 1万800年
セシウム137 200年
ヨウ素131 54日

ともあれ前述したように、自分が知りたいのは放射線が人体に与える影響なので、これらのベクレル値ではなく放射線の種類、エネルギー、受ける体の部位なども考慮した「シーベルト」を重視する。なのでニュースにベクレル出てきてもスルーでおk→俺。



ところで。
「通常の〇倍」という言い方がよくされているが、その通常値とは0.00005mSv、1千万分の5カレー。ソースはこれ↓

1 :名無し募集中。。。 :2011/03/15(火) 18:20:06.37 0
放射能漏れ関東各地に拡大 原発事故、北風に乗る 東日本大震災に伴う東京電力の福島第1原発事故を受けて、関東各地で15日、通常より高い放射線量が観測された。茨城県内では最大で通常の100倍程度の 毎時5マイクロシーベルトを観測。

重要!ここで出ている「マイクロシーベルト」は、mSv(ミリシーベルト)の1千分の1を表す単位。1000マイクロシーベルトが1ミリシーベルト、1000ミリシーベルトが1シーベルト。
長さに置き換えると掴みやすい。

1シーベルト=1m メートル
  ↓ の1000分の1
1ミリシーベルト=1mm ミリメートル
  ↓ の1000分の1
1マイクロシーベルト=1マイクロメートル(ミクロン)

つまりマイクロシーベルトは、文字通りミクロン単位の話。健康について言うなら、とりあえず1000倍しないと始まらない。1000倍してミリシーベルトに持ち込んで、さらにせめて10ミリシーベルト×24時間(累積200ミリシーベルト/5分の1カレー越え)とか、1000ミリシーベルト(1カレー=100万マイクロシーベルト)に届く数値だったら、すぐさま健康に関わる情報?と捉えることができると思われる。
自然に浴びてるものを計算すると、毎時0.274マイクロシーベルト。通常値と言っているのが、毎時0.05マイクロシーベルト。この辺りが目安になるかも。



てな訳で、ざっくり結論。

状況1:中辛
  毎時20ミリシーベルトか2万マイクロシーベルト、あるいは
  「通常の4万倍以上」の声が聞こえ、かつそれが継続するよ
  うだったら、50分の1カレー。数十km退避。

状況2:大辛
  毎時200ミリシーベルトか、20万マイクロシーベルト、ある
  いは「通常の40万倍以上」の声が聞こえ、かつそれが数時間
  継続するようだったら、5分の1カレー。もっと遠くへ退避。

状況3:激辛
  毎時1000ミリシーベルトか、100万マイクロシーベルト、
  あるいは「通常の200万倍以上」の数値が出て来て、かつそ
  れが継続するようだったら1カレー。逃げてー!超逃げてー!
  そしてカレーの匂いが染みた身体の対処をする。

状況4:その他
  それ以下の場合は、落ち着いて推移を見守る。
  尚、大事なのは「自分が居る場所」の数値で、原発事故現場
  で測定された数値「ではない」ことに留意。


うーん、これで間違い無いかな....。ちょい不安。誰か検算して?

2011年4月10日日曜日

私達は両面でなければならない

■頑張れとか復興とかって、多分、今言うことじゃない。

「語られうることは明晰に語られうる。
 語りえぬものについては、沈黙せねばならない。」


ヴィトゲンシュタインの、この言葉を思い出した。
この兄は病んでいるとも言えるが、それだけではない。語りえぬものの一端を示しているだけだ。
簡単に言えば、「頑張れ」という言葉が欲しい時と、そうでない時がある、ということ。そして頑張れと言って欲しい人には頑張れと言う人が、言って欲しくない人には、決して口にしない人が寄り添わねばならない。
哲学者でありながら、言葉の限界、哲学の限界に敢えて言及したヴィトゲンシュタインが好きだ。

これからの事態で何が大ゴトかって、様々な温度差を持つ、こうした人々「全員」を相手にしなくてはならないことだ。しかも時間が経つに連れ、折々様々に変化していく。それにもついて行かなければならない。あの麗しい「頑張れ」、「みんないっしょ」には、網羅の限界がある。

だから私は、この兄の方に行く。自閉と知的障害を患う子の親として、世界と運命と健常と平安への怨嗟を、抱かずにはいられない時がある私の心性は、この兄の方に近しい。
私も病んでいるのか?そうかもしれない。人間の中に糞泥の沸く冥(くら)い場所があると艱難したことが、そして誰しも身中に嬢矩咤 (ひくた)の蛭を飼うと辛苦したことが、その証左であると言うのなら。

だが予想される困難に対し、私達は両面でなければならない。「頑張れ」と言うことも、言わないことも、共に正しい。ただどちらもあって、初めて「準備」足りうるのだと、私は信奉する。
一人の中に両面あればベストだが、無理なら得手同士が分担すれば良い。誰しも向き不向きというものは、あるのだから。
ただ、願わくばそれらが、背中を預けあうものでありますように。背を向けあって、互いから顔を背け続けるようなものでは、ありませんように。

最後にもう一つ言葉を、アランの『定義集』から引いておこう。

 愛他主義 ALTRUISME
 これはエゴイズムの反対である。これは他の人たち
 (autrui=他者)のことを思う性格、彼らが何を思
 っているか、何を感じているか、何を希望している
 か、何を欲しているか、何を欲するはずであるか、
 何を我慢することができないか、などを考える性格
 である。これは他人の位置に自分を置くことである。
 したがって、彼らが表明する、あるいは彼らが表明
 すると想定される賛嘆や非難によって強く影響され
 る。この種の友情なしには、世界には社会というも
 のは、まったく存在しない。


言葉を手がかりに、言葉の向こう側へ。
私達は、両面でなければならない。

2011年4月6日水曜日

かくありて いぬてんのいえ

この2年の間に起きたことシリーズその1。
「家 買ぅた」

子供ができて、2LDKのマンションが段々手狭になってきて、どうしようかなあ...と思案していた折、義父から「少しだが援助出来るぞ」とありがたい申し出があり。
今の家のローンは当然絶賛支払い中だが、古くて安い中古のマンションなら、残債と合わせても何とかなるかもしれない...ならないかもしれない...
ええい!できるかできないかは、できたかできなかったかですぐ分かるんじゃー!と、とにかく物件を探してみることにしたのが一昨年の5月。

不動産広告が入る度ナメるように見て、不動産屋にも情報提供をお願いし、東に「これは!?」という物件があれば 行って検討してやり、
西ニツカレタ嫁アレバ ヒトリデ行ッテソノ写真ヲ撮リ
南ニ古スギル物件アレバ  行ッテコワガラナクテモイイトイヒ
北ニ競合ヤ手付ケノ打チ合イガアレバ
イイカラコチラニヨコセトイヒ
抜カレタトキハナミダヲナガシ
サムイ財布トオロオロアルキ
自分ヲデクノボートヨビ
雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケズ 探し続けて昨年2月。妻が「これは!?」と差し出した一枚の広告。
新築、格安、一戸建て。立地良し、環境良ろし、4LDK!?
「これは!!」と早速広告主の仲介業者に連絡し、実地に見聞し、即不動産屋に駆け込んで説明を受けた。

安さの理由は" 決算期 "だった。「販売戸数実績」の数字が欲しい不動産屋が、売れ残り物件の価格を下げてきたのだ。下手な中古マンションよりも安くて好条件な、掛け値無しの超お買い得物件!
だが条件があった。

「3月15日までに引渡しを完了させること」

残り1ヶ月で全ての手続きを終わらせろと!?
思わず仲介業者さんと顔を見合わせた。

「間に合うと思います?」
「...ギリッギリですね」

ギリギリ五分五分なら勝算はある!やろう!コップに半分の水は「2杯目☆」と取るのがイッツ・マイ・ウェイ!
それからはホントに東奔西走。売り主の会社を調べ、建物の詳細を調べ、銀行を探し、ローンのシミュレーションを繰り返し、旧居の処分の算段をして買い手を探して交渉して引っ越しが準備のキャー!

そして迎えた運命の日、3/15。銀行に旧居と新居の譲渡に関わる関係者が一同に会し、手続きが始まった。
しかもこの作業の外側では、同時進行で引っ越しが行われていた。売り払った旧居の引き渡しも、同日にならざるを得なかったからだ。
だがこの手続きに必要な書類一枚、ハンコ一つでも抜けていれば、手続きは中止→新居の入手はお流れ→しかも旧居は既に人手に渡っているので、引っ越し荷物に残債まで抱えたまま、文字通りの宿無しになる、その瀬戸際だった。

何度も確認をして、抜けは無いはずだった。それでも私以外の人が準備した書類の、何処かに不備があったら....
目の前を物凄い勢いで書類が行き交う。寄ってたかって何度も印鑑を押しあい、数千万円のお金が右から左へ流れて、権利と所有が移動して....

「終わりました」

終わった?

「ではこれを」

そう言って手渡された。新居の鍵を。

走りきったーーーーーーー!
と快采を叫ぶより、むしろ虚脱感の方が大きかった。口からは、白くて出ちゃいけない感じのものをはみ出させながら、仲介業者さんと一緒に銀行を出た。
旧居の残債は丁度半分残った。新たな借金を重ね、借財は増えた。それでも何とか上積みされる金額を抑えようと、売り手の弱味につけ込んで、只でさえ値引きされてる所を更に苛め抜き、同業者が聞いたら「営業妨害だ!」と叫ぶのは確実な額まで値切り倒した。その挙げ句の今日の手続きだった。

「あの金額、どう思います....?」ふと仲介業者さんに尋ねてみた。
「いやあれもう絶対赤(字)出てますよ!!」

「まだやるつもりだったのか」と、唖然とした表情をされたようだったが、口からはみ出しているもののせいでよく見えなかった。

ともあれこうして現在に至っている。そしてこの体験を通して、学んだことがひとつある。

「家を買うなら、年度末」。