2011年6月26日日曜日

韓ドラ雑感

ヨメから韓ドラの話を聞くことがよくある。番組連動でやっている、ポイントプレゼントキャンペーンが目当てだったらしいのだが、始めはそんなんでも、観始めるとやっぱり面白いらしく、帰宅した私に長々説明することになる訳だ。
正直辟易する事も多かったのだが、聞いているうちに妙なことに気が付いた。
「なあ、また記憶喪失出たん?」

違うドラマの話をしているはずなのだが、同じようなエピソードが繰り返し出てくる。

・記憶喪失
・事故
・出生の秘密
・金持ちと貧乏
・難病(障害)
・エキセントリックな母親。

最後の「母親」というのは、ちょっと不思議な存在。男女が付き合い始めるや出て来て、何かと引っ掻き回す。文化の問題かもしれない。ともあれ、どうもこれらの要素が、韓ドラには必須らしい。
もうひとつ「復讐」という要素もあるのだが、これは韓国朝ドラに多く含まれる成分とのこと。しかもこの復讐、内容が実にエゲツない。朝からこの濃さで平気とは、さすが唐辛子の国。

この要素を理解して以来思うのは、韓ドラ生成ジェネレータが作ってみたくて仕方ない、ということ。ちょっとプログラムの知識があれば絶対作れる。しかも簡単に。

登場人物
彼氏/彼女/彼の兄弟/彼女の兄弟/彼の父・母/彼女の父・母/彼の友人/彼女の友人

要素1(誰が)
記憶喪失になる/事故に遭う/出生の秘密がある/金持ちだ/貧乏だ/難病を持つ/恨んでいる/恨まれている

要素2(数)
記憶喪失×n回/事故×n回/出生の秘密×n点/金持ち×n人/貧乏×n人/難病持ち×n人/恨んでいる×n人/恨まれている×n人/友人×n人

要素3(傾向)
70年代風少女漫画/コメディ

作れる。絶対作れる。このジェネレータが吐き出すあらすじから、次の大ヒット作が出来てしまったらどうするんだ。
いや、むしろもう在る可能性のほうが高いかww

◆その他_1
ふと韓ドラの王者『冬のソナタ』はどうだったのか、と気になり、詳しい人に聞いてみたら、全く期待を裏切らなかった。
・ヨン様には出生の秘密があり、2回事故に遭って2回記憶喪失になり、最後は失明した。
・ヨン様と、チェ・ジウの最初の恋人でヨン様の恋のライバルは金持ち。
・ヨン様の母親が、記憶喪失になった息子に偽の記憶を植え付けたのが苦難の始まり。
・ヨン様とチェ・ジウのラブシーンが、いちいちイニシエ少女漫画チック。
なんという全部盛りwww

◆その他_2
「こんなどれ観ても同じような話ばかりで、韓国の人飽きへんのかねぇ」
とヨメに言ったら、
「必ず『姉妹の確執」が出てくる内館牧子のドラマを、ずっと見続けてる感じなんじゃ?作品は違っても内館ワールド、みたいな」
と言われた。なるほど。
てかそれむしろクトゥルー神話www

2011年6月9日木曜日

24年の探し物

何年も何年も、意味を探し続けている言葉があった。「そぶれいおん」というのがそれだ。
大野安之の漫画『Lip☆』に出てくる、宇宙船の管制コンピュータの名前なのだが、一読以来その由来を探し続けていたのだ。
ちなみに『Lip☆』の刊行は、調べてみたら1987年だ。数年に一度位、ふと思い出しては検索、というスタイルではあるが、最初の「?」から 24年が経っていることになる。

で、これがまたどうにもこうにも分からなかったのだが、つい先日、とうとうHITした。
綴りは"Sobraon"で、「地名」だった。

時は1846年2月10日、所は英領インド。植民地支配を強めるイギリスと、それに抵抗するシーク帝国が、インド北端のパンジャブ地方にある 「ソブラアン」で激突した、第一次英シーク戦争「ソブラアンの戦い」(Battle of Sobraon)、ここに登場する単語だった。
"Sobraon"、英語発音で「ソブレイオン」と。
以前このスペルで検索した時はHITしなかったんだがなあ…?検索せなんだ間に、Webに情報が増えたんかしらん?

で、問題はこの"Sobraon"で正解か、とりわけ船名に使われるかどうかだ。

前記ソブラアンの戦いは英軍の大勝に終わっている。つまり「ソブレイオン」は、勝利を示す縁起の良い名前になりうる。
船名になった可能性はあるある、と探してみると、はたしてソブラアンの戦いの20年後、1866年に英国で建造された、3本マストの大型商用帆船「Sobraon」があった。
どうやらイギリス流れで船名に使 われたことがあるのは、間違いなさそうだ。

結論:
大野安之の漫画『Lip☆』に出てくる「そぶれいおん」は、19世紀、インド・パンジャブ地方での第一次英シーク戦争「ソブラアンの戦い」に由来する、英国船名が元ネタである。

ちなみにこの商船ソブレイオンだが 20世紀に入った所で、当時出来たばかりの王立オーストラリア海軍に売却され、練習船「Tingira」 (ティンギラ:アボリジニの言葉で”大海原”)に生まれ変わったという。

ミリタリーマニアな大野安之のことだと、英米独露の軍艦名は調べたんだがなあ…。まさかオーストラリア海軍の、練習船の、転用前の英国商船の名前だとは。完全に想像の外だったっつーか斜め上過ぎる。

あー!すっきりしたー! という言葉をもって、日々蓄積して行くWeb上の情報と、世界中の名も無き執筆者達への感謝に代えさせて頂きます。